石嶋設計室

都市デザインについて

建築家としての方向性

石嶋は千葉大だから幕張担当!

その一言が、建築家としてボクの方向性を決めたと言っても過言ではない。
以来、15年の長きにわたって「都市計画」とも「建築設計」ともいえない「都市デザイン」という微妙な分野を担当してきた。

そのプロジェクトは幕張ベイタウン。

ご存じの方も多いと思うが、ハード面の特徴は「沿道型の建築配置に徹底的にこだわった住宅地」である。

でも、このプロジェクトの特徴は、実はソフト面にあるとボクは思っている。ガイドラインや会議体などは朧気ながら外に発信されているのでご存じの方も多いと思うが、意外と知られていないのは設計の進め方である。

企画からの2段構えの設計方式

「企画設計」段階からボクら建築家が関与して、マンションデベロッパーと打合せを重ねてとりまとめ、それをベースにして新たに参加した建築家が住棟設計を行う、2段構えの設計方式。

「企画設計」という単語はあまり聞き慣れないかもしれない。周辺環境や事業条件などをふまえ、全体計画のテーマを設定し、計画地にどんな大きさ・高さの建物を、どのように配置するか、などをとりまとめ、それを元に概略の事業収支を弾き、このプロジェクトが成立するか否かを判断することであり、重要なフェーズである。

通常の開発では、このフェーズはプロジェクトの大小を問わず、「ボリューム出し」とか「営業設計」と呼ばれ、ゼネコンや大手設計事務所の営業のツールのひとつとされてきた。しかし、幕張の場合には「企画設計」が仕事になっていることが重要な点である。

美しい街並みのための骨格づくり

「企画設計」を人間に置き換えれば、「骨格」とか「裸の人間」そのもので、後では直すことが容易ではない重要な部分であると思っている。

ボクは長いことこの「骨格」とか「素の人間」をどうつくるかをメインに担当してきた。

当たり前のことだか「骨格」が美しくないモノに、どんなにキレイなドレスを着せても、お化粧を施しても、所詮限界があるのは明らかなこと。

幕張ベイタウンは、この「骨格」となる「企画設計」を片手間でなく、マンションデベロッパーと建築家が議論を重ね、じっくり時間をかけて検討していることが、美しい街並みをつくりだしている要因だと言える。

一方、都心で見かける超高層マンション、郊外で見かける板状マンション、湾岸エリア大規模マンション群等の多く事業性を重視するがあまり、骨格をおろそかにしている。

販売価格を抑えたい、日照を多く得たいという考えはとても理解でき、完全に否定するつもりはないが、都心では超高層マンションが街のコンテクストとは関係なく林立し、郊外では南の角を高くして東西に向かってガタガタと階段状に回数を下げたL字型のマンションが主体となっている。

小さなマンションやアパートもあまり好ましくない。地上げの産物であろう地型の悪い敷地を目一杯使って、通常では考えられないような形態の建築を多く見受ける。

道路や公園などの共用空間の面積を最小限に抑え、南に向かって整然と区画割りされ、変化がなく、味家のない戸建住宅地も郊外に行けばまだ多い。

ボクも建築家の端くれ、キレイなドレスや化粧にも正直魅力がある。

でもそれは美しい骨格をつくってからでも遅くない。

ボクはまず、じっくりと美しい骨格をつくりたい。

2005.07 石嶋寿和