増築を重ねてきた実家を、耐震補強とともに再生
茨城県古河市にある私(石嶋)の実家、木造2階建て住宅のフルリフォームです。私も5歳から中学卒業まで暮らし、小山高専の寮に入って家を出てからも、長期休みには帰省していました。
もともとは祖父母が建てた小さな母屋に両親が平屋を増築し、さらに小学4年生になった私に個室を与えるため、2階を載せる増築をした家です。増築を重ねたことでさまざまな不具合があり、建築設計を生業としている私にとっては、少し恥ずかしい実家でもありました。
私が独立した頃には建替えの話もありましたが、建設費が収まらず足踏みしていました。そんな中、2011年3月の東日本大震災で外壁や基礎などにひびが入り、耐震補強を兼ねた全面リフォームに踏み切りました。
24畳のLDKを家の中心に
以前の家は家族それぞれの個室が中心で、家族が一緒に過ごす大きな部屋がありませんでした。食事もそれぞれ別々にとることが多く、家族のまとまりが希薄な家だったと思います。
そこで今回のリフォームでは、家族がいつもLDKにいて、ワイワイガヤガヤと賑やかに過ごせる家を密かなコンセプトとしました。家の中心に24畳のLDKを設け、帰宅したときも、風呂に入るときも、個室に行くときも、必ずLDKを通る間取りとしています。
LDKには、ピアノ教師だった母のためにアップライトピアノを置きました。私の息子も小学生の頃までピアノを習っており、帰省するたびに母から即席のレッスンを受けていました。
父、母、2人の妹には、それまでなかった個室も用意しました。
家族の身体に合わせて考えたバリアフリー
父には脊髄の病気による麻痺があり、2人の妹にも脚の障がいがあるため、バリアフリーには特に注意を払いました。
教科書通りにつくるのではなく、実際に使ってみながらひとつずつ対策を決めています。廊下は狭い方が両手で手すりを持って身体を支えやすく、玄関は適度な段差があった方が靴を履きやすい。一般的なセオリーから外れる部分もありますが、家族の身体と住み心地を確かめながら、ベストなかたちを導き出しました。
父のために、大好きな富士山が見える位置にトイレを設けました。晩年には消化器系の病を患い、トイレで過ごす時間が長くなった父にとって、ゆっくりと富士山を眺められる場所となりました。
こうしたバリアフリー対策の実施にあたっては、重度障害者(児)住宅リフォーム助成事業の助成金を利用しました。
父の「烏城のように」から生まれた外観
2階建てのボリュームはそのまま残し、内部に大きな吹抜けを設けました。2階を減築することも検討しましたが、既存のボリュームを残した方が建設費を抑えられたためです。
外観は、重い和瓦を下ろして軽いガルバリウム鋼板葺きとし、外壁には窯業系サイディングを張りました。城好きだった父の「烏城のようにしたい」という一言から、外観は濃いグレイにしています。
吹抜け上部には大きなはめ殺しの窓を設け、外観のボリュームを変えることなく立面にアクセントを加えました。遠くからでも目に入る、新しい表情が生まれました。
| 計画地 | 茨城県古河市 |
|---|---|
| 用途 | 専用住宅 |
| 家族構成 | (私の)父、母、妹、妹 |
| 延床面積 | 105.17m2(31.81坪) |
| 階数 | 地上2階 |
| 構造 | 木造 |









