母屋と寄り添い、互いを引き立て合う離れ
狭山湖にほど近い里山に建つ、家具作家のアトリエ兼住宅。既存の母屋が手狭になったことから、その隣に離れを計画しました。
重視したのは、既存の母屋との良質な関係を築くこと。調和しながらも埋没せず、互いを引き立て合う建築を目指しました。
この関係を長い時間をともに歩む「夫婦」の姿に重ね、母屋に寄り添う配置や、幾分低く抑えた屋根高さ、塗り壁と木製格子による柔らかな表情を与えています。
母屋の前下がり屋根と、むすひの前上がり屋根。それぞれ異なる個性を持つ二つの建築が、里山の風景の中で静かに対話しています。
人が集い、語らう住まいの中心となるキッチン
格子戸をくぐると、吹抜とキッチンが来客を迎えます。料理好きの施主が酒や肴を振る舞い、人が集い、語らう。この建物においてキッチンは、単なる調理の場ではなく、人と人を結びつける最も大切な場所として計画しました。
左手にはダイニング、右手には家具作家である施主のアトリエを配置。ものづくりと暮らしが自然につながる、アトリエ兼住宅ならではの空間となっています。
暮らしと創作をつなぐアトリエとギャラリー
キッチン奥の階段を上ると、吹抜に面したギャラリーへと続きます。錆びた鉄板の展示カウンターには施主の作品が並び、里山の風景と響き合います。
吹抜を挟んで設けた二つの和室は、茶室や客間、仕事場や子ども部屋など、暮らしの変化に応じて多様な使い方を受け入れる余白として計画しました。
時間と季節を映し出す格子のある暮らし
建物を包む格子戸は、外観を特徴づける意匠であると同時に、光や風を調整する環境装置でもあります。やわらかな光を室内へ導き、床や壁に映るストライプの陰影が、季節や時間の移ろいを映し出します。
建築、庭、家具、鉄。それぞれの作り手の仕事が重なり合い、「むすひ」という名前のとおり、人と人、ものづくりと暮らしを結ぶ住まいが生まれました。
| 計画地 | 埼玉県所沢市 |
|---|---|
| 用途 | 住宅兼アトリエ |
| 敷地面積 | 189.96m2 |
| 建築面積 | 58.74m2 |
| 延床面積 | 100.14m2 |
| 構造 | 木造 |
| 階数 | 地上2階建 |
| メディア掲載 | 渡辺篤史の建もの探訪2016年9月放映、住む。59号2016年[秋] |











