茨城県結城市の企業主導型保育所の計画です。工業団地の中、建築主が経営する工場用地の一画に建築しました。
園舎は、大きなひとつの塊としてつくるのではなく、4つの小さな家を連結した構成としました。2つの保育室棟、病後児保育室棟、ホール棟で構成し、それぞれトイレや収納等、必要な部屋を備えました。
これにより棟ごとの単独利用が可能となり、土曜や朝夕の合同保育、習い事への場所の提供、地域交流イベント等の開催が可能となりました。
外観は、同じ勾配で様々な方向に向けた勾配屋根を架けることで、リズミカルな形態をつくり出しました。
ホール棟は、2層分の天井高を確保して象徴的に計画しました。行事や軽運動への対応と同時に、工場で働く保護者と一緒に食事をするランチコーナーとしての利用も想定しました。ホールに接する厨房の床を30cm下げ、子どもの視点でも調理師の手元が見えるようにし、食材がどのように変化していくかを観察できるようにして食育を重視しました。
バルコニーには、らせん階段、レンガのクライミングウォール、ネット遊具、滑り台等、複数の遊具を設置しました。またその周囲を人工芝のマウンドとウッドデッキで囲むことで、建物全体を複合遊具として計画しました。
子どもの発達にあわせて設けた2棟の保育室は、園庭に向けて大きな開口を設け開放的な構成としました。
病後児保育室は、玄関をはじめトイレ等も保育室とは別に設けた。2部屋用意することで、感染症と非感染症の子どもを同時に預かれるようにしました。
園舎を敷地の中央に配置して、南北に性格の異なる2つの園庭をつくりました。南側は遊具と中央の広場を中心としたフラットなグラウンド、北側は土管や小山を中心とした遊び場です。両者はウッドデッキでつながり、屋外に延長したもうひとつの保育室として機能します。
複合遊具や園庭での遊びを通じて、基礎体力や危機回避能力の向上を目論むともに、年少児は年長児を見て学び、憧れ、挑戦する気持ちを育み、年長児は年少児への世話や、教えることで自信を持ち、譲る心や我慢を覚え、互いに成長するよう考えました。
計画地 | 茨城県結城市 |
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用途 | 企業主導型保育所 |
定員 | 30人 |
敷地面積 | 370.93m2 |
建築面積 | 299.88m2 |
構造 | 木造 |
階数 | 平屋建 |
受賞 | 第13回キッズデザイン賞 |
掲載 | 建築ジャーナル2019年12月号、近代建築2018年9月号 |