
2006年10月に開園したグローバルキッズの第一号園である東京都認証保育所を、認可保育所へ移行することにあわせて園舎を新築する計画です。計画地は東急世田谷線 松陰神社前駅から徒歩2分ほど、旧園舎とは道路をはさんで隣接しています。
園舎は木造の2階建にしました。敷地が南北に長く、西向きのため、保育室前には深いバルコニーを設置して、西日を遮ることを重視しました。
外観は、戸建住宅が広がる街並みとの調和を意識して、園舎を大きな塊とするのではなく、5棟のテラスハウスが並んだように壁面を分節しました。バルコニーの出寸法の違いで凹凸を繰り返し、異なるレンガタイルや手すりの形状で調和を保ちながらも変化のあるファサードをつくりだしました。
園舎の顔である玄関は、立地に相応しい華やかなデザインとしました。木製の玄関扉の両側に積まれたクリスタルブロックは、室内から照明を当てることで玄関先に優しい光をつくり出し、夜お迎えに来る保護者の疲れを癒すことを目論みました。また、正面の壁一面の絵本棚は、背をレンガタイル貼りとすることで、アイストップに相応しいデザインしました。
1階には玄関をはさんで0,1歳児室と一時保育室を設けました。
0歳児室と1歳児室は大きな引戸で隔たれていますが、開放すればワンルームとなり、発達にあわせて一体的な利用ができるようにしました。
一時保育室は玄関とは別に出入口を設けて、地域の子育て支援等、保育所以外の多目的な利用にも対応できるようにしました。
2階には2歳以上の保育室を設けました。
2歳児は、生活習慣の自立やコミュニティ形成の第一歩を踏み出す時期ですので、手厚い保育ができるよう独立して保育室を設けました。
一方3歳以上児室は、異年齢での保育がしやすいよう、大きなワンルームとし、開放的な構成としました。
この園舎は構造形式にも大きな特徴があります。計画地は前面道路が細く、さらに至る道路も曲がりくねっており、大型重機が入れない場所です。そのため使用する木材の材長は6m以下に抑え、短い材料を工夫して架構を組む必要がありました。
0,1歳児室は、燃えしろ設計を用いた卍組(まんじぐみ)の架構とし、横長・縦長と平面形状の異なる0,1歳児室を連続的につなぐ架構としました。一方2階は、2本1組の短い垂木を屋根勾配なりに架け、つなぎ材を介して互いに支え合うレシプロカル構造としました。結果、7.5mスパンを5.5mの部材で構成することが可能となりました。
保育室は1階、2階とも建物を支える構造体を積極的にデザインに取り込み、照明や天井材を工夫することで、ダイナミックで木質感があふれる空間ができあがりました。
建築主 | 株式会社グローバルキッズ |
---|---|
計画地 | 東京都世田谷区 |
用途 | 認可保育所 |
定員 | 60人 |
敷地面積 | 635.55m2 |
建築面積 | 275.23m2 |
延床面積 | 480.19m2 |
構造 | 木造 |
階数 | 2階建 |