都心居住が進む東京都千代田区にある4階建3,000㎡弱の既存事務所ビルを一棟丸ごと、4階に放課後児童クラブ(学童保育)、3階に保育所、2階に室内園庭、1階に保育所運営会社の事務所に改修する計画です。
3階の保育所は、0歳児室を除き、腰高の家具で仕切ったワンルームタイプの間取りとしました。保育室が面する南隣地側の開口部からは、日差しが燦々と降り注ぐのですが、隣地境界線に近すぎて建築基準法上の採光はゼロでした。結果、採光がとれる面は道路側に限られるため、ワンルームタイプにせざるを得なくなりました。
幼少期の心身の発達には、遊びを通じて環境を介した身体的な学びを経験することが重要で、それを実現する場である「園庭」がとても重要だと言われています。しかし保育所の設置基準では公園等が近くにあれば園庭は必須ではなく、都心ではほとんどの保育所に基準通りの園庭は存在しません。
さらに多くの公園では禁止事項の羅列等、遊びに窮屈さを強いており、これらが外遊びを遠のかせ、ストレスの発散の機会の減少や身体能力の低下を加速させています。
そこでこの園では、子どもたちが自由に遊べる室内園庭を2階につくることとしました。
園庭は2つのエリアで構成しました。起伏のある人工芝エリアは地面の隆起が丘や砂場になります。
一方デッキエリアは、夏はプール、それ以外の季節はブランコやボール遊びの場としました。床を防水し、表面はゴムチップ舗装とすることで、子どもたちが転んでもケガをしないように配慮しました。
よじのぼれるレンガ壁、鉄棒、登り棒、鉄の木、ジャングルジム、大きな積み木等、子どもたちの遊びを誘発する仕掛けを至る所に配しました。
竣工間際には、年長さんとのワークショップで足洗い場をつくりました。一緒に園庭をつくることで「自分たちの園庭」という愛着心が芽生え、今後ここで繰り広げられる活動が子どもたちにとっての原風景となってもらえることを願っています。
計画地 | 東京都千代田区 |
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用途 | 認可保育所・学童クラブ |
定員 | 保育所138人、学童クラブ60人 |
延床面積 | 1611.63m2(保育所1,034.25m2+園庭296.54m2+学童クラブ280.84m2) |
所在階 | 2〜4階 |
メディア掲載 | [新]建築設計資料04 地域シェア型保育施設/保育園・幼稚園・こども園の設計手法/コア東京2016年6月号/新建築2016年5月号 |