東京大学駒場2リサーチキャンパス内に建つ事業所内保育所の計画。私たちは複数者によるプロポーザルを勝ち抜き、選定されました。
私たちは、計画地に立つ十数mにも及ぶ巨大なムクノキと園舎のあり方について、
1)鎮守の森など子どもの遊び場が減りつつある都心で貴重な財産であること
2)子どもたちにとって格好の遊び道具であること
3)四季の移り変わりや時間の感覚・命の尊さを教えてくれる先生であること
などの理由から、できるだけ伐採せずに、むしろ保育園の一部として積極的にとりこむことで、子どもたちの心身の発達を促し、豊かな感性を育むことができるような園舎を提案しました。
言い換えれば、園舎自身が主張するのではなく、ムクノキと一体となることで自身も輝く「森の保育園」を目指しました。
0歳を対象とした保育室は間仕切るものの、他の保育室はワンルームとして腰高の家具で間仕切りました。これは保育人数の変更に対して柔軟な対応とともに、見通しを良くすることで子どもたちの事故防止や防犯に配慮したためです。
外観は、隣接する校舎からの見下ろしや構内通路から景観を重視して、建物を4つのかたまりに分け、高低差のある屋根をリズミカルに連続させました。その結果、欄間からも陽光を得ることができ、室内にむくのきの陰影を取り込むことができました。また構内通路側をガラス貼りとしたことで子どもたちの楽しげな活動が通路からも垣間見られ、キャンパス内の賑わいの向上を目指しました。
南側の屋外遊戯場は2,3歳児を対象とした冒険遊び場です。樹木に見守られて子どもたちが元気に遊ぶ空間としましたた。一方、中庭は0,1歳児を対象とした庭。シンボルツリーであるムクノキの下で静かにひなたぼっこができるスペースとしました。
建築主 | 東京大学 |
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計画地 | 東京都目黒区 |
用途 | 東京都認証保育所 |
定員 | 30人 |
建築面積 | 222.96m2 |
延床面積 | 211.79m2 |
構造 | 木造 |
階数 | 平屋建 |