ログハウスのあるランチルームは第二の遊戯室

吉田幼稚園「森のくましょくどう」(竣工:2025年7月)

森のくましょくどう_夜景

 本計画は、茨城県水戸市に所在する吉田幼稚園における、給食室とランチルームの増築計画です。オープンにあたり、「森のくましょくどう」という愛称が与えられました。
 敷地は、園舎本館の計画当初から将来的な給食施設の整備を見据えて確保されていたもので、約17年の歳月を経て、このたび構想が実現しました。幼稚園は保育所とは異なり、原則として給食の提供は行わない制度となっていますが、吉田幼稚園では、園児に対して栄養バランスに配慮した食事を安定的に提供すること、食育を通じた教育的価値を高めること、さらに保護者の弁当準備にかかる負担を軽減し、共働き家庭への支援を行うことなど、現在では当然とされるこれらの視点を、施設計画の初期段階から重視しており、給食機能の導入を見据えていました。
 これまで駐車場として使用されてきた敷地のため、駐車台数を維持する必要があることから、1階部分には引き続き駐車場を確保し、2階に給食室とランチルームを計画する構成としました。これにより、限られた敷地条件の中で、園児の生活空間と保護者の利便性の両立を図りつつ、施設全体としての機能性と運用効率の最適化を実現しています。

 ランチルームは、敷地条件を活かし、日照を最大限に取り込んだ明るく快適な食環境を実現しました。内部仕上げにはカラマツ材を用い、中央にログハウスをシンボリックに配置することで、自然素材のもつ温かみを視覚・触覚・嗅覚など多様な感覚で体験しながら食事ができる空間づくりを目指しました。
 また、壁面には暖炉と絵本棚、お絵かき黒板、大型鏡、2つのスクリーンと放送設備を備えており、ランチルームは単なる食事の場にとどまらず、園児や大人の多様な活動を支援する第二の遊戯室としての役割も担っています。
 外観は、道路側に大きなガラス面を設け、昼間は園児たちが食事を楽しむ様子が外部からも視認できる開放的な構成としました。夜間には、柔らかな光に照らされたログハウスがガラス越しに浮かび上がり、周囲の街並みに温かみのある風景を提供しています。

 本施設は、本館とは渡り廊下で接続されており、休園日には単独での利用も可能な構成としています。今後は、塾や各種習い事、地域の子育て世代の交流拠点、食育イベントの開催など、多目的な活用を想定しています。
 従来の園舎は、安全性やプライバシーへの配慮から閉鎖的な構成となることが多いですが、本施設は「地域に開かれた園舎」という理念を意識し、次世代の園舎建築のあり方を示す、象徴的な施設として計画しました。

鳥観

全景

外観

夜景

玄関

駐車場

内観

内観

ログハウス

内観

暖炉と絵本棚

給食室

計画地 茨城県水戸市
用途 幼稚園(ランチルーム、給食室、駐車場)
建築面積 462.33㎡(増築部分のみ)
延床面積 924.66㎡(増築部分のみ)
構造 鉄骨造
階数 地上2階

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