電車との上手な付き合い方を追求した園舎

モニカ矢口渡園(竣工:2021年4月)

モニカ矢口渡園_外観

 東京都認証保育所から認可保育所へ移行することにあわせて園舎を新築する計画。計画地は東急多摩川線 矢口渡駅から徒歩5分ほど、北側が線路敷きに面した敷地です。

 設計にあたって私たちは、歩行者からの視線に加え、動く電車からの視線にも意識してデザインしました。その結果は「単純明快でダイナミックな構成」。具体的には線路に向かって前下がりの形態とし屋根と外壁を色ムラのある赤いボリュームと、整然と建つ白いボリュームが絡み合う構成としました。

 玄関に入ると、間接照明にあおられて陰影をつくり出すレンガのアクセントウォールが来園者を優しくお迎えします。奥に進み突き当たりを左に曲がると、この園舎の特徴であるガラス張りの螺線状の階段に出会います。

 他園と同様、階段を魅力的なデザインとすることで、子どもたちの遊具となり、楽しく昇降することで、体力やバランス感覚を増進するとともに、危機回避能力を身につけることを目論みました。

 2階の保育室は屋根勾配なりの高天井の大空間です。保育室間には大きな引戸を設け、開け放つことで、一体的な利用ができるようにしました。またバルコニーを開放的につくることで、子どもたちにとって電車を見下ろすことができる特等席になりました。

 ボルダリングウォールを設置した遊戯室は、軽い水遊びにも対応できるようにしました。らせん階段側の間仕切壁を大きなガラス張りにすることで、階段は観覧席となり、年少児は遊戯室で活動している年長児の姿を見て憧れを抱き、年長児は年少児に見られていることを意識してより頑張る、お互いに成長するよう考えました。

 廊下には天井までの絵本棚を設けて、読み聞かせができるもうひとつの保育の場としても利用できるようにしました。

 夕方には、柔らかな照明が園舎を浮かび上がらせ、仕事に疲れてお迎えに来る保護者を暖かく迎えるようにデザインしました。

外観

外観

夜景

1階保育室

2階保育室

遊戯室

螺線状の階段

レンガのアクセントウォールのある玄関

絵本棚のある廊下(撮影:黒住直臣)

建築主 株式会社モニカ
計画地 東京都大田区
用途 認可保育所
定員 60人
敷地面積 332.37m2
建築面積 261.80m2
延床面積 491.69m2
構造 鉄骨造
階数 2階建、塔屋1階

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