弊社から徒歩2分ほどの場所にあるビルインの認可外保育所を、認可保育所に移行する計画です。
豊かな下町情緒が残り、人との関わりが濃厚な人形町地区に位置することから、「まちのみんなが先生で、まち全体が保育園」という理念を掲げ、まちの人々と一緒に子どもを育むことを目指しています。
認可外保育所を運営しながら内装を全面的につくりかえるため設計・施工上の工夫が必要でしたが、幸い保育室が2層使いだったため、それが可能でした。
まずは2階の既存保育室でこれまでどおり保育をしながら1階を工事し、1階が完成後は子どもたちは1階の新しい保育室に移り、2階の工事を行って全体が竣工します。
そのため階ごとの竣工時に、関係法令や保育所の設置基準に適合するよう計画しました。
外観は街のランドマークとして醸成してきた大きな黄色いのれんをこれまでどおり掲げました。一方内装は、認可保育所としての安全性や機能性を確保しながら、園名に相応しい和風のデザインを追求しました。
市松模様の格子天井には和紙風アクリル板で覆われたLED照明を組み込み、和柄文様の欄間やタイル、のれん、出隅のコーナーガード代わりの付け柱等を効果的に用いて和風を強調しました。
エントランスには瓦の小庇と漆喰のなまこ壁で仕上げ、地元で調達した切長型提灯をサインとしてぶら下げて、子どもたちを迎えます。
さらに壁一面の絵本棚、調理室を覗ける窓、カラフルな屋内階段、ボルダリングウォール等、小さいながらも子どもたちがワクワクする仕掛けをふんだんに盛り込んだ現代の寺子屋は、新築園舎に勝るとも劣らない認可保育所となりました。
建築主 | 株式会社サムライウーマン |
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計画地 | 東京都中央区 |
用途 | 認可保育所 |
延床面積 | 214.14m2 |
定員 | 30人 |
所在階 | 地下1階〜地上2階 |
受賞 | 第15回キッズデザイン賞 優秀賞(消費者担当大臣賞) |
掲載 | 近代建築2021年8月号 |