幅6mの大階段と吹抜ホールが非日常体験を演出

みらいく中村橋園(竣工:2019年4月)

みらいく中村橋園_ホールと大階段

 西武池袋駅 中村橋駅から徒歩5分ほど、住宅地に建つ保育所の計画です。
 みらいくの保育園では「人や自然とのつながりを学び、命を大切にする心を育む」という保育目標を達成するため「木育」を採り入れた保育を行っており、私たちはこれに相応しい園舎とするため、ふんだんに木を使用した2階建の木造園舎を提案しました。

 平面は約19m×18mの正方形に近い形状。中央に大きなホールを設けて、それをはさむように北側と南側に保育室等を設けた3枚おろしの構成です。中央のホールは軽運動の他、お遊戯会等行事にも対応できるよう、スポットライトや音響設備も設けました。
 1階にはホールや園庭との結びつきが強い3歳以上児の保育室を配置し、2階には大きなバルコニーをはさんで1、2歳児室を、東側には単独で0歳児室を配置しました。それぞれトイレや収納等必要諸室を備え、保育室から廊下に出ずに保育ができるようにしました。

 私たちは園舎の設計にあたって常に階段を重視しています。現代の乳幼児は、戸建住宅やマンションの低層階に住んでいない限り、日常的に階段を利用することがありません。私たちはこれまでも様々な形態の魅力的な階段を提案してきましたが、この園舎ではホールの幅のまま続く大階段を設けました。これにより、子どもたちは楽しみながら昇降し、自然と基礎体力や危機回避能力の向上につながることを目論みました。

 開放的なホールとは対比的に階段下には隠れ家を設けました。天井が低く閉鎖的な空間は子どもが落ち着きを取り戻すスペースであるとともに、ランダムに穿たれた窓、鏡、照明は、子どもたちに非日常を提供します。

 2階の回廊の手すりは強化ガラスにしました。その理由は、2階の年少児がホールで活動している年長児の姿を見て学び、一方、年長児は年少児のお手本になるよう意識して頑張ることで、共に成長することを意図したものです。さらに行事時には大階段同様、保護者の観客席としての利用も想定しました。また調理室前の床を1m程度上げ、子どもたちの目線で鍋の中が見られる食育スペースも設け、仕掛けが盛りだくさんの回廊としました。

外観

園庭側外観

夜景

ホールと大階段

ホールと大階段のライトアップ

ホール

ブリッジとトップライト

回廊

階段下の隠れ家

1階保育室

2階保育室

建築主 株式会社第一コーポレーション
計画地 東京都練馬区
用途 認可保育所
定員 60人
敷地面積 585.19m2
建築面積 347.80m2
延床面積 629.56m2
構造 木造
階数 地上2階建
掲載 近代建築2019年4月号

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