木育を支える木造園舎
西武池袋線中村橋駅から徒歩5分ほど、閑静な住宅地に建つ保育所の計画です。
みらいくの保育園では、「人や自然とのつながりを学び、命を大切にする心を育む」という保育目標のもと、「木育」を取り入れた保育を実践しています。私たちは、この理念を建築として支えるため、ふんだんに木を使用した2階建ての木造園舎を提案しました。
子どもたちが木の香りや手触り、温もりを日常的に感じながら過ごすことのできる環境そのものが、「木育」の一部になると考えていました。
ホールを中心とした「三枚おろし」の空間構成
平面は約19m×18mの正方形に近い形状とし、中央に大きなホールを配置し、それを挟むように北側と南側に保育室や諸室を配置する「三枚おろし」の構成としました。
ホールは日常の運動遊びだけでなく、お遊戯会や発表会などの行事にも対応できるよう、スポットライトや音響設備を備えています。
1階にはホールや園庭との結びつきが強い3歳以上児の保育室を配置し、2階には大きなバルコニーをはさんで1・2歳児室を配置しました。また、0歳児室は東側に独立して配置し、それぞれの年齢に応じた生活環境を整えています。
さらに、トイレや収納など必要な諸室を各保育室に隣接して配置することで、廊下に出ることなく保育が完結する計画としました。
成長を育む大階段
私たちは園舎の設計にあたり、階段を単なる上下移動のための設備ではなく、子どもたちの成長を支える大切な場所だと考えています(コラム:階段について想うこと)。戸建住宅やマンションの低層階に住んでいない限り、日常的に階段を利用する機会が少なくなっています。
そこで本計画では、ホールの幅いっぱいに広がる大階段を設けました。子どもたちは毎日の昇降を楽しみながら、自然と基礎体力やバランス感覚を身につけるとともに、危険を察知し回避する能力を育んでいきます。また、この大階段は行事の際には観客席としても機能し、園全体の活動を支える舞台装置にもなっています。
子どもたちの居場所となる隠れ家
開放的なホールとは対照的に、大階段の下には小さな隠れ家を設けました。天井が低く閉鎖的な空間は、子どもたちが気持ちを落ち着かせたり、一人になったりできる大切な居場所となります。また、ランダムに設けられた窓や鏡、照明が、子どもたちに探検する楽しさや非日常的な体験を与えています。
異年齢の成長を支える回廊
2階回廊の手すりには強化ガラスを採用しました。2階で生活する年少児が、ホールで活動する年長児の姿を見て学び、一方で年長児は年少児のお手本になろうと意識することで、互いに成長していく環境を目指しています。
また、行事の際には保護者席としても利用できるほか、調理室前には子どもたちの目線で鍋の中を覗くことのできる食育スペースを設けました。
回廊は単なる移動空間ではなく、子どもたちの学びや交流を支える舞台として機能しています。
私たちが大切にしていること
私たちは、園舎を保育を行うための単なるハコではなく、子どもたちの成長を支える「もう一人の保育士」だと考えています。
だからこそ、それぞれの園が大切にする保育理念や教育方針を丁寧に読み解き、建築として形にすることを大切にしています。
木育を大切にする、みらいくの保育においても、木の温もりに包まれた空間と、子どもたちの成長をさまざまな仕掛けによって、建築そのものが保育を支える園舎を目指しました。
| 建築主 | 株式会社第一コーポレーション |
|---|---|
| 計画地 | 東京都練馬区 |
| 用途 | 認可保育所 |
| 定員 | 60人 |
| 敷地面積 | 585.19m2 |
| 建築面積 | 347.80m2 |
| 延床面積 | 629.56m2 |
| 構造 | 木造 |
| 階数 | 地上2階建 |
| 掲載 | 近代建築2019年4月号 |











