
東京都江戸川区の認可保育所の計画。JR新小岩駅から徒歩10分程度の住宅地に計画地はあります。
この園舎の特徴は、中央にある4本の丸太の柱とらせん状の階段です。直径60cmのヒノキの丸太の間にガラスを張って階段を内包しました。1辺4段の階段を5/4周まわると2階、さらに1周まわると隠れ家的なロフトに行き着きます。子どもたちが階段を上下することで、丸太や階段の隙間から様々な園内の景色を目にすることができるように計画しました。
1階には避難を優先して0,1歳児室を配置しました。死角のない正形のワンルームとし、沐浴室、トイレ、調乳室等、必要諸室を隣接して設け、保育士が子どもから目を離さずに保育できるような保育室としました。
2階には2歳以上の保育室を配置しました。3~5歳児室を大きなワンルームとし、家具を動かすことで大小様々なコーナーをつくれる異年齢保育に適した保育室としました。
一方、2歳児室の空間づくりには工夫を凝らしました。2歳児室は3~5歳児室とワンルームですが、床を70cm上げて空間の質を変えました。年長児の活動を見ながら学べるとともに、生活習慣の自立やコミュニティ形成の第一歩を踏み出す子どもたちを手厚く保育できるような空間づくりを行いました。
保育室とは別に設けた多目的室は、子どもたちの軽運動の場であるとともに、コーナーで埋まった保育室をそのままにしたまま午睡できる就寝の場です。さらに、専用階段を設けることで、地域への開放も視野に入れたスペースとしました。
外壁には、味わい深い経年変化が楽しめ、メンテナンスフリーであるレンガを用いました。淡色のレンガとピンク色の目地材を組み合わせることで、重厚感と優しさをあわせもつ外観としました。ランダムに穿たれた開口部は、子どもたちに空、街、緑等を提供するとともに、単純な立面にアクセントを与えています。
園庭は性格の異なる2つを用意しました。
道路側の乳児専用の園庭は、レンギョウのトンネルやひなたぼっこデッキ等、年長児を気にすることなく遊べるようにしました。またお祭り時には門扉を開け放ち地域に開放することも視野に入れています。
一方、奥の園庭は年長児の庭です。砂場や古タイヤ、土管の築山を中心にした、回遊性があり冒険心をくすぐる園庭としました。(撮影:黒住直臣)
計画地 | 東京都江戸川区 |
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用途 | 認可保育所 |
定員 | 72人 |
敷地面積 | 687.56m2 |
建築面積 | 286.19m2 |
延床面積 | 499.41m2 |
構造 | 木造 |
階数 | 地上2階建 |
受賞 | 第11回キッズデザイン賞 |
メディア掲載 | CONFORT No.168、近代建築2017年1月号 |