地域と自然が育む、新しい学び舎

大日向中学校(竣工:2022年4月)

大日向中学校_普通教室

イエナプラン教育を支える学校建築

 2019年に日本初のイエナプラン認定校として開校した大日向小学校に隣接して、大日向中学校は増築されました。

 本計画では、小学校との連携を重視し、多くの特別教室、給食室、ランチルームなどを渡り廊下でつなぎ、共用する計画としました。一方で、中学校として必要となる技術室や、中学生が身近に本と触れ合える図書室を新設し、成長段階に応じた学習環境を整えています。

 平面計画は約6mスパンを基本とし、1階には普通教室や技術室、2階には図書室を配置しました。図書室からは、普通教室の高窓を通して地域で親しまれている茂来山を望むことができ、自然とつながる学びの場をつくっています。

地域材と地域技術による地産地消の建築

 外観は、緩やかな勾配の片流れ屋根と深い庇によって水平性を強調し、水平線を強調するデザインとしました。さらに白い外壁とすることで、背後に広がるカラマツ林の緑との美しい対比を生み出しています。

 構造は、佐久穂町の特産品であるカラマツを使用した木造としました。一般的にカラマツは変形やひび割れが起こりやすいため集成材として利用されることが多い素材ですが、本計画では地元の材木会社でも加工可能な製材を用いることにしました。

 設計段階から地域の材木会社と協議を重ね、規格外寸法となる7m材を森林から伐採・乾燥することで確保しました。強度の高いカラマツ材を活かすことで、小ぶりな断面で3.5間のスパンを実現し、約2.4mの深い片持ち庇を可能にしています。

 さらに、内装材や木製建具にもカラマツを積極的に使用することで、素材の統一感と木の温もりを感じられる空間を実現しました。

 地域の森林資源を活かし、地域の材木会社、施工者、職人の技術によってつくり上げることで、資源と技術の地産地消を実現した学校建築となっています。

自然の力を活かした快適な学習環境

 空調計画では、教室内に床置型空調機を設置しました。吹き出された冷暖房空気は、アルミサッシ付近の床面に設けた吸込口へ導き、床下を経由して空調機へ戻る循環方式としました。

 これにより、冬季には窓面で冷やされた空気を床下へ取り込むことで、窓際の冷え込みを抑え、教室内の快適性を確保しています。また、晴天時には床面が取得した日射熱を床下で回収することで、床面の冷却を防ぎ、暖房効率の向上にも寄与しています。

 一方、夏季の冷房時には、床面付近に滞留する冷気を床下で回収することで、室内の温度ムラを抑えるとともに、空調機の効率的な運転を実現し、省エネルギー化につなげています。

 換気計画では、室内のCO₂濃度に応じて換気風量を自動制御することで、エネルギー消費を抑えながら、常に良好な空気環境を維持できる計画としました。

私たちが大切にしていること

 私たちは、子どもたちが主体的に学び、豊かな経験を通して成長できる環境づくりを大切にしています。

 教育理念や地域の特性を丁寧に読み解き、それぞれの場所が持つ可能性を建築として引き出すことで、子どもたちの未来を支える学びの場を提案しています。

鳥観

外観

外観

普通教室

普通教室

普通教室の吹抜

技術室

図書室

図書室から茂来山を臨む

玄関ホール

玄関ホール

夜景

建築主 学校法人茂来学園
計画地 長野県南佐久郡佐久穂町
用途 中学校
定員 90人(30人/学年×3学年)
敷地面積 16,462.88m2
建築面積(増築部分のみ) 584.88m2
延床面積(増築部分のみ) 684.42m2
構造 木造
階数 2階建

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