社員コミュニケーションの活性化が知的生産性の向上へ

山崎設備設計(竣工:2023年4月)

山崎設備設計_外観夜景

意匠計画

 山崎設備設計は、WEBを活用した戸建住宅の設備設計業務を早期から行い、毎年業績を拡大してきました。現在では、様々な用途に進出し、更なる事業規模の拡大が見込まれています。今回の増築工事は、社員数の増加への対応と、社員同士のコミュニケーションの活性化による知的生産性の向上を目的としています。

 外観は金属製サンドイッチパネルと大きなカーテンウォールで未来志向の研究所を彷彿させるデザインを目指しました。また稜線に沿って上っていく切妻屋根は、同社の発展と向上心を持って実直に設計業務に携わっている社員の姿勢を表現しています。

 新社屋は2階建の鉄骨造で、既存社屋との間に下屋を配置しました。均等スパンのスケルトン天井は、構造の美しさが際立ち、設備計画の学習素材としても活用しています。通常は天井内に隠れてしまう、配線や配管のルート、接合方法等、実物を見て学べる設計としました。

 1階は執務を中心としたフロアです。大きなワンルームの執務空間は社員増にともなう柔軟なレイアウト変更に対応しています。また、玄関では開放的な階段とシンボルツリーが来客者を出迎え、会議室では絵画のように切り取られた白山連峰の雄大な景色が、来客者に最高のおもてなしを提供します。

 2階は社員同士のコミュニケーションの場です。スキップフロアや天井の変化で状況に応じた環境を提供しています。カフェ、バー、ラウンジは、栄養満点の食事を提供する社員食堂やグラスを傾けながら熱い議論を交わす場としても利用され、ジムで共に汗を流すことで、健康経営の推進や社員同士の交流が促進され、更なる業績向上寄与すると考えました。吹抜上部に浮かぶ四周ガラス張りのスカイラボは、社屋内を一望できるとともに、白山連峰の景色を同時に享受できるこの社屋一の場であり、象徴的につくりあげました。

 テレワークがアフターコロナの働き方の選択肢となり、オフィス面積の減少が進む中、オフィスのあり方も大きく変化しつつあります。その最中にオフィスを増築することの意味は、同社がこれまでどおり「集まって働く」ことの重要性を強く感じているためです。集まって働くことで社員同士の情報共有や技術の継承がスムーズに行われ、それが同社の知的生産性の向上につながり、さらには依頼者の利益につながると考えているためです。このオフィスはそれを実践する場としての役目を担っています。(石嶋寿和)

設備計画

 当プロジェクトの設備設計コンセプトは、持続可能性と効率性を重視した設備システムの構築です。

 NearlyZEB(Nearly Zero Energy Building):エネルギー消費を最小限に抑えたNearlyZEB認証を取得しました。

 高効率床下空調:高効率な床下空調システムを採用しました。このシステムは、空調のためのエネルギー使用量を最小限に抑えながら、快適な室温を維持します。

 省エネ:エネルギー効率の高い機器や全熱交換型換気扇(ロスナイ)、LED照明の使用、高効率な断熱材の使用による断熱性の向上、エネルギー効率の高い建材の選択などを通じて、建物全体のエネルギー消費量を劇的に削減しました。

 太陽光発電:建物の屋根に38kwの太陽光パネルを設置し、建物内のエネルギー需要の一部を賄います。

 照明制御:効率的な照明制御システムを導入しました。人感センサーやタイマーによる照明のON/OFF制御、自然光の利用促進、照明の明るさ調整などを行い、照明エネルギーの無駄を最小限にしました。

 これらの要素を組み合わせることで、私たちは環境に配慮し、エネルギー効率が高く、持続可能な建物を実現しました。エネルギー消費の最小化と創エネルギーの活用により、低炭素社会の実現に貢献します。(山崎設備設計 山崎純悟)

東側外観

西側外観

西側夜景

大階段

シンボルツリー

執務室

様々なデザインの会議室

会議室から白山連峰を臨む

2階

カフェ

階段ベンチ

カフェ

バーカウンター

正面にスカイラボを見る

ラウンジ_正面にジムを見る

計画地 石川県小松市
用途 事務所
敷地面積 1,242.96m2
建築面積 600.44m2
延床面積 969.06m2(既存棟252.27m2+増築棟716.79m2)
構造 鉄骨造
階数 2階建

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