日本の保育を中国へ届けるプロジェクト
中国天津市の新市街に位置する住宅地内に計画された幼稚園です。既存の戸建オフィスをフルリノベーションし、新たな保育環境として再生しました。
中国では一般的に3歳児から幼稚園に通い始め、それ以前の子どもは母親や祖父母が家庭で育てることが多くあります。一方で、母親の育児経験の不足や、祖父母世代との子育て観の違いによる家庭内の課題も社会問題として顕在化していました。
施主はこうした状況に問題意識を持ち、0歳児からの保育運営の実績とノウハウを持つ日本の保育に学ぶことが最良であると考え、日本型保育を実現する園舎づくりを目指しました。私たちは、その想いを建築として具現化するため、本計画に携わりました。
PM2.5時代の室内園庭
施主からの要望のひとつが、「PM2.5による空気室の悪化によって外遊びが難しい日でも、子どもたちが身体を動かせる環境をつくりたい」というものでした。
施主は、私たちが手掛けた「かなや幼稚園」や「グローバルキッズ飯田橋園」における室内遊び空間の考え方に共感し、本計画においても園の中心となる室内園庭の整備を希望されました。
そこで私たちは、既存建物中央の吹抜空間を活用し、園の中心となる室内園庭を計画しました。人工芝による築山やすべり台、ジャングルジムを配置し、さらに2階から滑り降りるチューブスライダーを設けることで、限られた面積の中でも立体的で変化に富んだ遊びを実現しています。
天候や空気質の状況に左右されることなく、子どもたちが日常的に身体を動かし、挑戦や発見を繰り返すことのできる遊びの環境を目指しました。
室内園庭を囲む保育環境
室内園庭を中心として、1階には2歳以上児室、2階には0・1歳児室を配置しました。保育室はフローリングの床、木質の腰壁、白い壁と天井によって構成し、子どもたちが落ち着いて過ごせる環境を整えています。
家具や収納についても建築と一体的に計画することで、保育活動に必要な機能を確保しながら、空間全体に統一感を持たせました。
また、地下には軽運動やリトミック、行事などに利用できる遊戯室兼ランチルームを設けています。隣接して調理室を配置することで、食事づくりの様子や香りを身近に感じられる食育環境を実現しました。
保育室とは異なり、地下空間にはカラフルな円形照明をランダムに配置することで、活動的で楽しさを感じられる空間を演出しています。
外遊びを支える園庭とデッキ空間
室内園庭を中心とした計画でありながら、子どもたちが外の空気や光を感じながら遊べる環境も大切にしました。
園庭には人工芝を敷設し、安全性を確保しながら十分な遊びの場を確保しています。また、保育室からの避難経路を兼ねたウッドデッキには高低差のある階段を設け、日常的な上り下りそのものが子どもたちの身体的な発達につながるよう計画しました。
日本の保育思想と中国の子育て環境、それぞれの特徴や課題を丁寧に読み解きながら、新しい保育環境のあり方を模索したプロジェクトです。
| 計画地 | 中国天津市 |
|---|---|
| 用途 | 保育所 |
| 延床面積 | 約700m2 |
| 階数 | 地下1階、地上2階建 |








