木造の現場について想うこと

2022.02.21

ひなた保育園やわら

 日本人は古くから木に慣れ親しみ、木造の家に住んできました。その長く続き経験は私たち日本人のDNAに刻まれているので、木造の建物の中に入ると落ち着いた気分になるんだと思います。

 私もそのひとりです。木造が好きでこれまでたくさんの木造の建物を作ってきました。木造の建物は木の匂いが心地よい竣工後も良いですが、私が特に好きなのは工事中の木造の現場です。

 さらに、野地板(屋根材の下地の板)をはる前、柱や梁や垂木(骨組)だけの時がとても素敵です。天気が良ければ架構の間に青空が見え、幻想的なストライプの影ができます。

 ここでは、建築関係者でなければなかなか見ることができない工事中の写真を、少しだけご紹介させていただきます。

 まずは「わんぱくすまいる保育園」の写真です。中央のらせん階段の周りの4本の丸太と方形屋根(ほうぎょうやね)の架構です。丸太は9mの一本物で直径60cmです。屋根を支える化粧垂木は45cmピッチで放射状に架けました。化粧垂木の少し下にはロフトの床組みがあります。

 ちなみに建築用語の「化粧」とは、通常隠れてしまう構造材等を見えるように使うことで、木造はこの化粧の構造材等をどのように室内に露出させ、デザインに利用するかを考えるのが最も楽しいところです。

わんぱくすまいる保育園
わんぱくすまいる保育園

 次は「ひなた保育園やわら」です。わんぱくすまいる保育園と異なり、設計当初より架構は天井内に隠蔽することにしてましたので、デザイン性よりも施工性や低コストを重視した架構となっています。しかし、工事中にはこんなに美しい架構が見られました。残念です。

ひなた保育園やわら
ひなた保育園やわら
ひなた保育園やわら

 福島県いわき市の「かなや幼稚園」は、寄棟の膜屋根が特徴的な園舎です。外部からは白い膜しか見えませんが、膜屋根1枚で天井をはってませんので、もちろん竣工後の現在も架構は丸見えです。

かなや幼稚園
かなや幼稚園
かなや幼稚園

 「グローバルキッズ狛江園」の遊戯室は、頂点をブーメラン型に曲げた一本物の集成材を90cmピッチで連続させ、6.3m幅の大空間の屋根を支えています。

グローバルキッズ狛江園
グローバルキッズ狛江園
グローバルキッズ狛江園